面接で、ヤバい人は「たった2つの質問」で見抜ける!

マインドセットについては、冨樫氏の識学では、正確に評価するため、8つの要素で全体像を把握することを推奨する。それが図にある「自己評価」「組織内位置認識」「結果明確」「成果視点」「免責意識」「変化意識」「行動優先意識」「時感覚」。そのなかでも特に注意深くチェックしたほうがいいのが、「自己評価」と「組織内位置認識」なのだという。

 

自己評価は「自分の評価は自分が決めると考える意識」のこと。端的に言ってしまえば、自己評価の度合いが強いと、自分を客観視できず、主観に基づいて自己を評価してしまいがちになる。「その自己評価の強い人は年齢を重ねるともう治りません。私たちの臨床的な経験から見ても、自己評価の強い人を面接で弾くだけで、入社後の不具合はミニマイズできます」との冨樫氏の指摘にはぜひ耳を傾けたい。


では、自己評価が強い人を見抜くにはどうすればいいのだろう。中途採用なら「これまでに全力で取り組んだ仕事とその達成度を教えてください」という質問で見抜けると冨樫氏は言う。

「40歳の応募者の面接で、これまでに頑張った仕事を聞いて、『お客さまに喜んでいただけたことです』と返答があったとします。でもこれは単なる自分の『見解』にすぎず、自分を客観的に評価できていません。逆に客観的に評価できる人は『毎月何件成約しました』といった『事実』を示します。答えが見解にすぎないのか、それとも事実を正確に示すのかを見ていくだけで、自己評価の度合いを測定できます」


確かに自分の能力を客観視できず、揚げ句の果てに「自分のプレゼンを理解してくれないお客が悪い」と言ってのけるような部下がいたら上司はお手上げだろう。そして「なんでこんな人材を採用したのだ」と人事部にクレームをつけてくるはずだ。それだけにウェブ面接でも、この設問でふるいにかけておく必要があるのだ。

一方、吉井氏は過去についての質問を中心に面接することを勧める。

「たとえば失敗したときに、どうやって這い上がってきたか、そのプロセスをきちんと分析して自分の記憶のなかに留めておける人は、しっかり自己認識ができています。つまり今後何をするにしても、折れずに克服する胆力が備わっているということです。『失敗したときの心境はどうだったか、なぜ自分にとってその失敗が大きな痛手になったか、どのように頑張って克服し、心が強くなったのか』ということを尋ねられたときの分析ができているのです。ところが表面を取り繕っていて口先だけが上手い人は、過去の質問をされるとフリーズしてしまいます」

そして、あまり耳慣れない「組織内位置認識」は、簡単に言うと序列意識のようなもの。この組織内位置認識が弱い人には、自分は賢いと勘違いしていたり、自社の批判や批評を繰り返したり、上司を上司として認めず指示を聞かないなど、とにかく厄介な態度や、勝手な考えをする人が多い。

中途採用の場合は、転職理由を深掘りしていくのに尽きます。面接の攻略本を読んできて、最初は優等生的なことを述べますが『ということは?』『つまり?』と切り込んでいくと、次第にネタが尽きて自社批判になっていきます。そこで組織内位置認識の弱さが露呈するわけです。新卒の場合は『大学のいい点、悪い点を言ってください』や『地元のいい点、悪い点を言ってください』という質問を投げかけると本音が出てきます。所属してきた集団の批判の割合が多い人には気をつけろということです」(冨樫氏)

「たとえば、ウェブ面接では緊張気味だと、オドオドした表情が反映されやすくなります。またズームの扱いに慣れていないと、操作ばかりに気を取られて集中できていないのが一目瞭然です。結局、ウェブに柔軟に対応できずに、自分らしさが出せないまま面接が終わってしまう人が少なくありません」(吉井氏)

また、いきなりバッテリーが切れたり、画面がフリーズしたりというアクシデントが発生したときも注目だ。

「突発のトラブルに上手く対応できるかどうかを見る絶好の機会です。また、コロナ禍でいきなりデジタルの時代に移行して、どれだけデジタルに慣れているか、使いこなせているかも、企業側にとっても大きなチェックポイントになるでしょう」(吉井氏)


「対面であれば、1人が一方的に30秒ぐらい話してもそれほど苦痛ではないと思いますが、ズームだと30秒ほど話し続けると、すごく長く1人でしゃべっている感覚が残ります。自分が言いたいことは15秒程度で完結させるよう気遣っているかどうかも見てください。もう1つは『、』(読点)で話をだらだらと続けてしまうのではなく、『。』(句点)で言いたいことを一つひとつ区切って話す人かどうかです。メリハリのある話をする人なら、物事に対する思考能力も高いと判断できます」

20年のウェブ面接では、ズームの機能を上手く活用した新たなスタイルが登場した。

エントリーシートをパワーポイントで作らせ、ズームの面接でプレゼンテーションさせた企業がありました。これだと学生のプレゼンの技量やセンスが一発でわかります。私が面接官なら、前に触れたこれまでの人生のなかでの自分の失敗談と、そこからどう這い上がってきたかをテーマにしてプレゼンしてもらいます。そうすればプレゼンの技量やセンスと一緒に自己認識力や胆力も見ることができて、まさに一石二鳥になるからです」(吉井氏)

 

 

 

https://president.jp/articles/-/37795